目標 9 研究開発プロジェクト
「脳指標の個人間比較に基づく福祉と主体性の最大化」

プロジェクトマネージャー(PM)
松元 健二
玉川大学 脳科学研究所 教授

さまざまな政策の評価は、主に費⽤便益分析のような金銭ベースの手法によってなされていて、人びとの主観的な「幸せ」は科学的な基礎をもって考慮されてはいないという現状があります。本研究開発プロジェクトは、それぞれの政策によって実現される人びとの「幸せ」を科学的に集約可能にすることで、さまざまな政策が真に人びとの「幸せ」の増大に繋がる社会を実現しようというものです。特に、少子高齢化や過疎化への対応として国内外で多くの試みがなされているスマートシティの一丁目 1 番地とも言われるモビリティ政策の評価に、人びとの「幸せ」の度合いが用いられるようになる未来の社会像を想い描いています。人びとの「幸せ」については、古今東⻄の哲学者が繰り返し議論してきましたが、本プロジェクトでは、著明な規範経済学者であるアマルティア・セン教授の提案する“福祉” (Well-being) と“主体性” (Agency) に注目します。
時代に即した“福祉”と“主体性”を、社会科学的アプローチにより特定するとともに、仮想現実 (VR) 技術を活用して人びとの主観的な“喜び”と“志”とに反映させます。そして、最先端の神経科学や計算科学のアプローチを駆使することで脳活動から、“喜び”と“志”を個人間比較可能な、したがって社会的に集約可能な形で読み取る技術を開発します。この技術により、スマートシティのモビリティをどのような形で実現すれば、そこに生活する多様な人びとそれぞれがどのくらいの“喜び”と“志”を見出すことができるかを正確に予測・集約することができるようになるはずですし、モビリティ革命に関連するさまざまな産業の発展を促す波及効果も期待されます。

プロジェクト推進体制

PM補佐

奥村 哲
玉川大学 脳科学研究所 教授
代替テキストです
田中 康裕
玉川大学 脳科学研究所 教授

外部評価委員

  • 隠岐 さや香 東京大学 大学院教育学研究科 教授(2023年度〜)
  • 花川 隆 京都大学 大学院医学研究科 教授(2023年度)
  • 入來 篤史 理化学研究所 未来戦略室 上級研究員(2024年度〜)(予定) 

ロゴマークについて

5つ研究開発項目が連携・融合することで本プロジェクトを推進する様を、5色のグラデーションによる一筆書きで描いた脳とハートで表しています。脳が生み出す心(ハート)の中の街のイラストは、仮想的な未来社会による“幸せ”の体験を表しています。その“幸せ”が現実になるのは、本プロジェクトで特定する“福祉”と“主体性”を最大限に実現した社会が人びとを守っている状態であることを、脳をカバーするように配置したWell-being & Agencyの文字で表現しています。

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